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プラケニル錠(ヒドロキシクロロキン)

プラケニル錠(ヒドロキシクロロキン)

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プラケニル錠(ヒドロキシクロロキン 200mg)60錠
Plaquenil (Hydroxychloroquine 200mg) 60tabs

ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)

プラケニル錠は、有効成分としてヒドロキシクロロキン硫酸塩を含む免疫調整剤で、主にエリテマトーデスや関節リウマチの治療に使用されます。

<ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)が有効な疾病>

  • (全身性エリテマトーデス)全身の免疫が異常になり、皮膚や関節、内臓が炎症を起こす病気。主な症状は、倦怠感、発疹、関節痛。
  • (皮膚エリテマトーデス)皮膚に限局した炎症性の病気。主な症状は、顔や体の発疹、赤み。
  • (関節リウマチ)関節が炎症を起こし、痛みや腫れが続く病気。
  • (抗リン脂質抗体症候群)血液が固まりやすくなる病気。血栓症の予防に効果がある。
  • (マラリア)蚊を媒介にした感染症の治療や予防。特定の種類のマラリアに有効。
  • (乾癬性関節炎)一部の患者で使用。皮膚と関節の炎症を伴う病気。

ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)|副作用

<最も注意が必要な副作用 : 目の症状(網膜障害)>
これらの症状が出た場合は、すぐに服用を中止して医師を受診してください。 網膜障害のリスクは、高用量(体重1kgあたり6.5mg以上)や長期間服用で高まると言われています。

  • 視力が低下する
  • 物がかすんで見える
  • 色がわかりにくい
  • 視界が暗くなる部分がある
  • 視野が欠けているように感じる

<比較的多い副作用>
これらは軽い場合が多いですが、気になる場合は医師に相談してください。

  • 下痢
  • お腹の痛み
  • 頭痛
  • 皮膚に発疹が出る

<稀に起こる重い副作用>
以下のような症状が出た場合、直ちに医師を受診してください。

重い皮膚や粘膜の症状

  • 皮膚の発疹、赤み、水ぶくれ、皮がむける
  • 唇や口の中にただれができる
  • 目が赤くなる、発熱、全身の倦怠感

血液の異常(骨髄抑制)

  • 強い疲れやすさ、発熱
  • 鼻血、歯ぐきからの出血、青あざができやすい

心臓の異常(心筋症)

  • 胸の痛み、息苦しさ
  • 手足がむくむ、体重が増える

筋肉の異常(ミオパチー)

  • 手足がしびれる、力が入らない
  • 立ち上がりにくい、歩きにくい

低血糖

  • 体がふるえる、冷や汗が出る
  • 強い空腹感やイライラ、ぼんやりする
  • 重症化するとけいれんや意識を失うこともある

ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)を服用している間、気になる症状があれば自己判断で続けず、必ず医師や薬剤師に相談してください。

ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)|服用方法

プラケニル錠の服用方法は、身長を基に計算される「理想体重」に応じて決められています。理想体重の計算方法は、

  • (男性)(身長(cm) - 100) x 0.9
  • (女性)(身長(cm) - 100) x 0.85

<1回の服用量>

  • (理想体重 : 31kg以上46kg未満)1日に1回、食後に本剤プラケニル錠1錠を服用します。
  • (理想体重 : 46kg以上62kg未満)1日に1回、食後に本剤プラケニル錠1錠と1日に1回、本剤プラケニル錠2錠を1日おきに交互に服用します。
  • (理想体重 : 62kg以上)1日に1回、食後に本剤プラケニル錠1錠を服用します。

<服用上の注意>

プラケニル錠を服用する際には、実際の体重ではなく、身長から計算される「理想体重」に基づいて服用量を決める必要があります。これは、脂肪組織への薬の吸収が少ないため、特に肥満の方が実体重で服用量を決めると過剰摂取となり、副作用(特に網膜障害など)のリスクが高まる可能性があるからです。
また、1日の平均服用量が理想体重1kgあたり6.5mgを超えると、網膜障害を含む目の障害のリスクが高まることが報告されています。このため、医師の指示に従い、服用量と服用方法をしっかり守ることが重要です。

ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)|お薬詳細

プラケニル錠の有効成分、ヒドロキシクロロキンは元々マラリアの予防・治療薬として開発されましたが、第二次世界大戦中に抗マラリア薬として使用していた兵士の関節痛などが軽減したことにより、エリテマトーデスや関節リウマチの治療に広く使われるようになりました。

ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、これらの疾患による皮膚症状、関節症状、倦怠感などの症状を改善するのに役立ち、治療を始めてから1~2ヶ月で効果が現れることが多いですが、最大の効果が出るまでには6ヶ月ほどかかることもあります。また、感染症のリスクは比較的低いとされています。

さらに、ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、関節リウマチやその他の膠原病の治療にも用いられることがあり、単独で使用される場合や、他の薬と併用される場合があります。薬の安全性は高いですが、副作用の一つとして目に影響を及ぼす可能性があるため、定期的に眼科の検査を受けることが推奨されています。

<作用機序>

プラケニル錠の作用機序は完全には解明されていませんが、いくつかの重要な働きがわかっています。プラケニル錠に含まれるヒドロキシクロロキンは、細胞内のリソソームやエンドソームに蓄積し、その内部のpHを上昇させることで効果を発揮します。このpHの変化によって、リソソーム内の酵素の働きが抑えられたり、エンドソーム内での免疫受容体を介した炎症物質の生成が阻害されます。

さらに、ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は免疫系の細胞同士の異常な連絡を妨げることで、免疫系の過剰な活性化を抑えると考えられています。また、ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)には、抗炎症作用だけでなく、細胞内でウイルスが増える過程を抑える抗ウイルス作用も報告されています。これには、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ仕組みも関係しているとされています。

このように、ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は全身性エリテマトーデスや皮膚エリテマトーデスといった自己免疫疾患の治療において、感染に対する免疫力を大きく低下させることなく症状を改善する特徴があります。その作用は複雑ですが、リソソームやエンドソームの働きに影響を与えることが中心的な役割を果たしています。

<ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)の効果>

エリテマトーデス

エリテマトーデスは、免疫システムが自分自身の体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一つです。これにより、皮膚、関節、内臓などに炎症が起こり、痛みや腫れ、疲労感、発熱などの症状が現れます。ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)のエリテマトーデスに対する主な働きは以下の通りです。

  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)が免疫細胞の中に取り込まれると、免疫反応を助ける小さな器官のpHを変えます。これにより、異物を分解したり、炎症を引き起こす分子を作る反応が阻害されます。
  • 免疫を司るT細胞(異物や炎症のターゲットを認識し、攻撃する命令を出す)やB細胞(物に対抗するための抗体(自己抗体を含む)を作る)の働きをヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)が抑えます。これにより、免疫の過剰反応を防ぎます。
  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)が自己抗体が細胞や組織にダメージを与える過程を抑えることで、炎症や損傷を軽減します。
  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)が、炎症を引き起こす分子を減少させることで、関節痛や皮膚の発疹などの症状を和らげます。
  • 全身性エリテマトーデスの患者では、血栓が起きやすくなります。ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、血液の粘度を下げたり、血液の凝固を抑えたりする作用があります。

関節リウマチ

関節リウマチは、免疫システムが誤って自分の関節を攻撃し、炎症を引き起こす「自己免疫疾患」です。この炎症によって関節の痛み、腫れ、そして最終的には関節の変形や機能障害が起こります。
ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、他の抗リウマチ薬ほど強力ではありませんが、比較的副作用が少なく、軽症から中等症の患者でよく使用されます。他の治療薬と併用することで、効果を高めたり副作用を軽減したりする役割を果たします。ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)のマラリアに対する主な働きは以下の通りです。

  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、細胞内の「リソソーム」という構造に作用し、これらのサイトカイン(免疫細胞が炎症を引き起こす物質)の産生を抑えます。これにより、炎症の元となる物質が減るため、腫れや痛みが和らぎます。
  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)が免疫をつかさどるB細胞の働きを抑え、自己抗体の産生を減らします。自己抗体が減ることで、関節の炎症やダメージが軽減されます。
  • 免疫細胞の中でも、関節リウマチの炎症に深く関与するT細胞とマクロファージの働きをヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は調整します。
    (T細胞)免疫反応の司令塔。異常な炎症を抑えることで、関節の腫れを減らします。
    (マクロファージ)炎症物質を放出する細胞。その働きを抑えることで、関節の炎症が軽減されます。
  • 関節リウマチで活性化される酵素を抑制し、ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)が軟骨や骨が破壊されるのを防ぎます。これにより、関節の変形や機能障害の進行が遅くなります。
  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、免疫細胞内のpH(酸性度)を変化させることで、異常な免疫反応を抑制します。

マラリア

マラリアは、蚊を媒介として感染する病気で、マラリア原虫が原因です。感染すると原虫は血液内の赤血球に寄生し、増殖を繰り返します。このプロセスが発熱や貧血などの症状を引き起こします。
プラケニル錠の有効成分であるヒドロキシクロロキンは、特定の種類のマラリア原虫(三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアなど)に対して効果を発揮します。
ただ、マラリア原虫の中にはヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)に対して耐性を持つものが増加しています。特に、熱帯熱マラリアでは耐性が多い地域があります。耐性のリスクを軽減するために、他の抗マラリア薬と併用されることがあります。

また、ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、マラリアが発症する前に予防的に使用することもあります。感染したとしても、原虫が増殖する前に抑え込むことで発症を防ぎます。

  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)は、赤血球内のマラリア原虫が毒性のあるヘムを無害化するプロセスを妨げ、ヘムがマラリア原虫の中に蓄積され、その毒性によって原虫の細胞膜が壊れ、原虫が死滅します。
    結果的に、赤血球内でのマラリア原虫の増殖が止まり、感染が抑えられます。
  • マラリア原虫の細胞内にある「食胞」という消化器官のpH(酸性度)を変化させる作用がヒドロキシクロロキン(プラケニル錠)にはあり、それにより原虫の代謝活動が阻害され、成長や増殖が妨げられます。
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