ビソルボン錠 8mg 20錠

ビソルボン錠｜概要

ビソルボン錠は、ブロムヘキシン塩酸塩を主成分とする「痰を出しやすくする」お薬です。ビソルボン錠は特に「痰が多くて苦しい」と感じる人にとって、非常に役立つ薬です。ただし、単独で病気を治すものではなく、あくまで症状を和らげるサポート薬です。

ビソルボン錠の効能

• （痰を薄くする）痰が粘り気を持つと、喉や気管に絡まりやすくなり、咳をしてもなかなか出てこないことがあります。ビソルボン錠は、痰の粘り気を減らし、よりサラサラした状態にします。これにより、痰が気管や喉から排出されやすくなります。
• （咳を楽にする）痰が絡む咳は不快感を伴いますが、痰が薄くなり排出されやすくなると、咳そのものも和らぐことがあります。これにより、呼吸がスムーズになり、喉の負担も減少します。
• （気道を清潔に保つ）気道に痰が溜まると、細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、さらなる感染や炎症を引き起こす可能性があります。痰を出しやすくすることで、気道を清潔に保ち、感染予防に役立つ場合があります。

ビソルボン錠が効果のある人

ビソルボン錠は、以下のような症状や病気に対して使われます

• （風邪やインフルエンザ）痰が絡む咳がある場合。
• （気管支炎）急性・慢性問わず、痰が多く出る病気。
• （肺炎）痰を除去して呼吸を楽にするため。
• （喘息）痰が絡むタイプの咳を伴う場合の喘息。
• （その他の呼吸器疾患）痰が溜まりやすい病気全般。

ただし、痰が少ない場合、効果を実感しにくく、また特定のアレルギーや疾患がある人は、医師や薬剤師に相談が必要です。
効果を感じるためには、こまめに水分をとることが重要です。水分補給をすると痰がさらに出やすくなります。

ビソルボン錠｜服用方法

• 通常、成人は1回にブロムヘキシン塩酸塩として4mg（本剤1/2錠）を、1日3回服用します。
• ＊慢性閉塞性肺疾患（COPD）や重い痰の症状では、1回8mg（1錠）、1日3回が処方されることがありますので、服用量は医師の指示に従ってください。
• 食後に飲むのが一般的です。食後に服用すると胃への刺激が少なくなるため、おすすめです。
• 飲み忘れた場合は、次の服用時間が近くない場合にすぐに1回分を飲みます。ただし、次の服用時間が近い場合は忘れた分を飛ばし、次の服用を通常通り行ってください。2回分を一度に飲まないでください。
• 錠剤はコップ1杯（約200mL）の水またはぬるま湯で飲んでください。

ビソルボン錠｜副作用

ビソルボン錠の副作用は比較的軽度で、胃の不快感やアレルギー反応などが挙げられます。万が一、重篤な症状（呼吸困難、強いアレルギー反応など）が現れた場合は、すぐに服用を中止して、医師に相談することが大切です。また、異常を感じた場合は、自己判断で薬の服用を中止せず、専門家に相談しましょう。

胃やお腹の不快感

服用後に胃の不快感や痛み、吐き気、食欲不振が感じられることがあります。
食後に服用することで、このような不快感を和らげることができます。

アレルギー反応

発疹（かゆみを伴う皮膚の赤い斑点）、じんましん、顔や唇の腫れ（特に顔や口の周り）、呼吸困難などが現れることがあります。これらは、薬に対するアレルギー反応です。
アレルギー反応が疑われる場合、すぐに服用を中止し、医師の指示を仰いでください。

めまいや頭痛

まれに、ビソルボン錠を服用した後にめまいや頭痛を感じることがあります。
もしこれらの症状が続いたり、日常生活に支障が出るようであれば、服用を中止して医師に相談することをおすすめします。

消化器系の症状

まれに下痢や便秘などの消化器系の問題が現れることがあります。
消化器系の不調がひどくなる前に、薬を中止するか、医師に相談しましょう。

稀な副作用ですが、ビソルボン錠を服用していて、次のような症状が現れた場合は、すぐに医師に連絡してください。これらはまれな副作用ですが、重要なサインです。

アナフィラキシー反応

強いアレルギー反応で、呼吸困難、急な血圧低下、顔や手足の腫れ、全身の発疹など。

肝臓や腎臓への影響

黄疸（皮膚や目が黄色くなる）、尿の色が濃くなる、腹痛など。

ビソルボン錠｜その他注意事項

ビソルボン錠と他の薬との相互作用

他の薬を服用している場合、ビソルボン錠と相互作用を起こすことがあります。特に、鎮咳薬（咳を抑える薬）を同時に服用すると、痰がうまく排出できなくなることがあります。

服用後に異常を感じた場合

体調に違和感を感じた場合は、すぐに服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

ビソルボン錠｜お薬詳細

作用機序

ビソルボン錠は痰を分解して薄めることにより、痰をサラサラにして粘りをなくすことに加えて、気道の線毛を活性化して、痰を外に排出しやすくします。
ビソルボン錠は痰を減らすわけではなく、排出を助ける薬なので、痰があるときに効果を発揮します。気管支や肺に痰が溜まっているときに呼吸を楽にして、感染予防にも役立ちます。

気道の分泌物を増やす

私たちの気管支（気道）には「粘液」を作り出す仕組みがあります。この粘液は、ホコリや細菌などの異物をキャッチし、体外に排出する役割を担っています。
ビソルボン錠を服用すると、この粘液の分泌を少し増やす作用があります。分泌物が増えると、痰が薄くなり、ねばねばした状態からさらさらした状態へ変化します。

痰の粘り気を分解する

痰の粘り気は、痰の中に含まれる「ムコ多糖類」や「タンパク質」という物質が原因です。
ビソルボン錠の成分は、これらの物質を分解する作用があります。具体的には、ムコ多糖類の結びつきを弱めることで、痰を「サラサラ」にします。こうして痰が柔らかくなると、咳で排出しやすくなります。

気道の線毛運動を助ける

気道の内側には「線毛」と呼ばれる小さな毛のような構造がびっしりと並んでいます。この線毛は、痰を上へと運び出す「エスカレーター」のような役割を果たしています。
ビソルボン錠は、この線毛の動きを活発にする作用があります。その結果、痰がスムーズに喉まで運ばれ、体外に排出されやすくなります。

他のお薬との比較

日本で認可されている痰を改善する主なお薬を以下に挙げます。

ビソルボン錠

（有効成分）ブロムヘキシン塩酸塩
（作用機序）痰を柔らかくサラサラにし、気道の中の小さな毛（線毛）の動きを活性化して、痰を外に出しやすくします。
（主な使用用途）痰が絡む咳、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患（COPD）など、痰が多くて出にくい状態の改善。
（特徴）痰を柔らかくすることに特化しており、排出しやすくする薬。痰が多くて苦しいと感じる場合に適しています。

ムコダイン錠

（有効成分）L-カルボシステイン
（作用機序）痰の粘りを調整して、痰が出やすい状態にします。また、気道の粘膜を健康な状態に整えて正常な粘液分泌を促します。
（主な使用用途）痰が多い場合、気道や副鼻腔が炎症で腫れている場合（慢性気管支炎、副鼻腔炎、COPDなど）。
（特徴）痰だけでなく、鼻や副鼻腔にも作用し、粘膜全体の炎症を抑える効果があります。
（ビソルボン錠との比較）ムコダイン錠は副鼻腔炎にも使われるため、痰だけでなく鼻や喉の症状が同時にある場合に適しています。しかし、効果が現れるのに時間がかかる場合があり、痰の排出に特化した即効性はビソルボン錠の方が優れています。

ムコソルバン錠

（有効成分）アンブロキソール塩酸塩
（作用機序）痰を分解する酵素を活性化し、線毛の動きを高めることで、痰を効率的に排出します。
（主な使用用途）急性・慢性気管支炎、肺炎、気管支拡張症など、痰が多い場合の治療。
（特徴）痰を分解する効果があり、排出を助ける即効性が期待されます。
（ビソルボン錠との比較）ムコソルバン錠は即効性が高く、重症の痰が絡む疾患に適しています。しかし、軽症の場合や日常的な痰には、ビソルボン錠の方が穏やかで適していることがあります。

セルベックス

（有効成分）テプレノン
（作用機序）気道や胃の粘膜を修復し、炎症を抑えることで、痰ができにくい環境を整えます。
（主な使用用途）胃粘膜保護が主な目的ですが、慢性的な気道の炎症が原因で痰が絡む場合にも使われることがあります。
（特徴）直接的に痰を排出する薬ではありませんが、粘膜の健康を整えることで慢性的な症状に効果が期待できます。
（ビソルボン錠との比較）粘膜の修復を助けるため、慢性の粘膜炎症が原因の症状に適しています。しかし、急性の痰の症状には効果が薄く、ビソルボン錠の方が即効性があります。