ハイレス 25

ハイレス 25（スピロノラクトン 25mg）100錠Hyles 25 (Spironolactone 25mg) 100tabs

ハイレス｜概要

ハイレスは、有効成分としてスピロノラクトンを含む薬で、体内の余分な水分やナトリウムを排出し、むくみや高血圧を改善する利尿剤です。本剤「ハイレス 25」は1錠中にスピロノラクトンを25mg含みます。また、ハイレスには、男性ホルモンの働きを抑える作用もあり、大人の女性のニキビ治療にも用いられます。

ハイレスの使用に際しては、以下の点を十分に考慮し、医師の指導のもとで適切に使用することが大切です。

適応症（ハイレスが向く人）

以下は、主な承認適応（正式に処方できる症状）です。

心不全

特に左心室収縮率が低下した状態で、死亡率および再入院率を減少させる効果があります。

高血圧

他の降圧薬で効果不十分な場合に追加で使われ、脳卒中や心筋梗塞のリスクを減らすのに効果的です。

浮腫

心臓病（うっ血性心不全）、肝硬変に伴う腹水、腎症候群（ネフローゼ）由来のむくみに使用され、余分な水分を体外に排出します。

原発性アルドステロン症

副腎からの過剰アルドステロン産生が原因の高血圧・電解質異常の診断や治療に用いられます。

低カリウム血症の予防・治療

他の利尿薬によるカリウム喪失を補うために使われることがあります。

以下は、承認外適応で、正式に承認された目的・用量・対象ですが、実臨床で使用される症状です。

ニキビ

女性のホルモン性ニキビに対して内服することで、皮脂分泌を抑え、改善が期待されます。4〜24週間程度で効果が現れるケースが多いです。

多毛症

ポリシスティック卵巣症候群などで過剰な体毛に悩む女性に処方され、毛の成長を抑制します。

女性型脱毛症

頭頂部から広がる薄毛に対して、毛の休止期脱毛を防ぎ、改善効果があります。

その他の用途

トランスジェンダー女性のフェミニゼーション補助、低ホルモン性の肌改善、などで用いられることもあります。

禁忌（ハイレスを使用してはいけない人）

尿が出ない（無尿）・急性腎不全

腎臓の機能が極端に低下して血液をろ過できない状態では、さらに腎機能悪化やカリウム上昇のリスクがあります。

高カリウム血症（血液中のカリウム濃度が高い）

ハイレスの有効成分であるスピロノラクトンはカリウムを体内に保持してしまうため、既にカリウムが高いとさらに悪化し、心臓のリズム障害など深刻な症状を引き起こす可能性があります。

アジソン病（副腎不全）

アルドステロンの不足により元々カリウム排泄が低下しています。ハイレスを使用すると高カリウム血症が助長され、非常に危険です。

ハイレス（スピロノラクトン）に対する過敏症、アレルギー

過去に製剤に含まれる成分でアレルギー症状を起こしたことがある場合は使用できません。

ハイレスの使用に注意が必要な人

腎機能が低下している人（eGFR < 50 mL/min/1.73 m²）

腎機能障害によりカリウム排泄能力が低下している場合、通常量でも高カリウム血症や急性腎障害のリスクが高まります。
ガイドラインではeGFR30–50の場合は25 mgを1日おきに開始し、2〜3日後に血清カリウム・クレアチニンを再チェック、さらに1週・月ごとにモニタリングを推奨しています

重度肝疾患（肝硬変、肝性脳症など）

肝機能が不全だと、スピロノラクトンの代謝が遅くなり血中濃度が上昇しやすくなるほか、大量利尿により電解質バランスが崩れやすくなります。
ガイドラインでは肝硬変患者は入院下で少量から開始し、ゆっくり増量するよう推奨されています。

電解質異常がある人

血清ナトリウム、マグネシウム、クロールなどが正常値より低い場合、電解質バランスがさらに乱れるリスクがあります。

脱水状態・過度の利尿

すでに脱水・過度の利尿状態では血圧低下や腎機能悪化を起こしやすく、心不全・ACE阻害薬使用中の患者では特に注意が必要です。

高齢者

加齢に伴い腎機能が自然に低下していることが多いため、カリウムやクレアチニンの頻回モニタリングが必要です。

ハイレスとの併用で、高カリウム血症リスクが高まる薬剤

ACE阻害薬・ARB（降圧薬）

リシノプリル、エナラプリル、ロサルタンなど。これらは腎臓でのカリウム排泄を抑え、ハイレスと併用すると高カリウム血症リスクが顕著に増加します。

カリウム保持性利尿薬・製剤

エプレレノン、アミロライド、トリアムテレン、カリウム補充剤、塩化カリウム塩分代替品など。どれもカリウムを体に溜める作用があり、併用は禁忌または慎重な使用が必要です。

鉱物コルチコイド拮抗薬との重複

ハイレス（スピロノラクトン）＋エプレレノンなど。両者のカリウム保持作用が重なり、重篤な高カリウム血症発症のリスクが高く、添付文書でも併用を禁忌としています。

NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）

イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、セレコキシブ、アスピリンなど。これらは腎血流を低下しハイレス（スピロノラクトン）の利尿作用やカリウム代謝を阻害し、高カリウム血症・腎機能悪化の打撃を強めます。

タクロリムス・シクロスポリン（免疫抑制薬）

腎臓への影響が大きく、カリウムが上昇しやすいため併用には注意が必要です。

ヘパリン・低分子ヘパリン

長期使用で血清カリウムが上昇する報告があり、併用時にはモニタリングが重要です。

トリメトプリム系抗菌薬

カリウムの排泄を抑える作用があり、特に高齢者で高カリウム血症を誘導しやすいです。

その他、ハイレスとの併用に注意が必要な薬剤・食品

以下は、高カリウム血症だけではなく、代謝、薬物動態、他の作用に影響を及ぼす可能性があります。

リチウム

スピロノラクトンにより排泄が抑制され、リチウム中毒のリスクが高まります。

ジゴキシン

血中濃度を高め、さらにアッセイ方法によっては測定値に誤差が出る可能性があります。

βブロッカー・一部降圧薬

アテノロール、ビソプロロールなどは血中カリウム上昇作用を持ち、併用時には注意が必要です。

高カリウム食品や塩代替品

バナナや塩化カリウム含有の食品・サプリは、カリウム過剰となりやすく注意が必要です。

ハイレス｜服用方法

ハイレスの服用方法は、治療する疾病や症状によって異なります。必ず医師の指示に従い、適切な量を服用してください。以下は一般的な用法・用量の目安です。
＊本剤「ハイレス25」は1錠に25 mgスピロノラクトンを含みます。100 mg以上を服用される場合は当社の ハイレス100（スピロノラクトン100 mg錠）の使用をお勧めします。

高血圧症（本態性高血圧）

通常、1日50 mg～100 mg（本剤2錠〜4錠）を1～2回に分けて服用。必要に応じて最大200 mg（本剤8錠）まで増量されることがあります。

心不全による浮腫

通常、開始量25 mg（本剤1錠）/日、耐容性が良ければ50 mg（本剤2錠）/日まで増量。臨床判断により最大100 mg（本剤4錠）まで可能です。

肝硬変による腹水（Ascites）

通常、100 mg（本剤4錠）/日から開始し、最大400 mg（本剤16錠）/日まで段階的に増量することがあります。臨床では100〜200 mg/日が一般的ですが、効果不十分な場合は400 mg/日まで増量可。

ネフローゼ症候群による浮腫

1日50～200 mg（本剤2錠〜8錠）を1～2回に分けて服用。100 mg/日を超える用量が必要となるケースもあります。

原発性アルドステロン症

（診断目的）1日100～400 mgを3～4週間分割して服用。
（治療目的）1日50～100 mgを1～2回に分けて服用。必要に応じて最大200 mgまで増量されることがあります。

成人女性の難治性ニキビ

通常、1日50～100 mgを1～2回に分けて服用。男性ホルモンの作用を抑え、3ヶ月以上継続することで改善が期待されます。

ハイレス｜副作用

ハイレスの服用に際しては以下のような副作用が報告されています。重篤な症状（例：急性腎不全や電解質異常）が疑われる場合は、直ちに受診することが重要です。
また、ハイレスを服用中は定期的な血液検査を受け、体調の変化に注意を払うことが大切です。自己判断での服用中止や増減は避け、必ず医師の指示に従ってください

ハイレスの主な副作用①｜内分泌系

• （女性化乳房）男性が服用すると、乳房が女性のように膨らむことがあります。
• （乳房の痛みや腫れ）男女ともに乳房の痛みや腫れを感じることがあります。
• （性欲の減退や勃起不全）性欲が低下したり、勃起が困難になることがあります。
• （多毛）体や顔に毛が増えることがあります。
• （月経不順や無月経）女性の場合、生理の周期が乱れたり、生理が止まることがあります。
• （声の低音化）声が低くなることがあります。

ハイレスの主な副作用②｜過敏症

• （発疹や蕁麻疹）
• （皮膚に赤い斑点やかゆみを伴う発疹が出ることがあります。）

ハイレスの主な副作用③｜消化器系

• （食欲不振）食欲が減退することがあります。
• （吐き気や嘔吐）気持ち悪さや吐くことがあります。
• （口の渇き）口が乾くことがあります。
• （下痢や便秘）お腹の調子が悪くなることがあります

ハイレスの主な副作用④｜精神神経系

• （めまい）ふらつきを感じることがあります。
• （頭痛）頭が痛くなることがあります。
• （四肢のしびれ）手足がしびれることがあります。
• （うつ状態や不安感）気分が落ち込んだり、不安を感じることがあります。

ハイレスの主な副作用⑤｜肝臓や腎臓への影響

• （肝機能障害）肝臓の働きが悪くなることがあります。
• （腎機能障害）腎臓の働きが悪くなることがあります。

ハイレスの主な副作用⑥｜血液の異常

• （白血球や血小板の減少）血液中の細胞が減少することがあります。

ハイレスのその他の副作用

• （倦怠感）全身のだるさを感じることがあります。
• （発熱）熱が出ることがあります。

ハイレス｜お薬詳細

ハイレスはタイの医療品の大手メーカーのBerlin Pharmaceutical Industry Co.,Ltd.が製造している、心不全、高血圧、肝臓および腎臓病、低カリウム血症および高アルドステロン症の患者の浮腫を治療するために使用されるお薬です。
日本で2007年より販売されているアルダクトン錠のジェネリック抗アルドステロン性利尿・降圧剤です。

ハイレスの有効成分はスピロノラクトンで、1錠中に100mgを含有します。
このハイレスの有効成分のスピロノラクトンはアルドステロン（水分を増やし血圧を上昇させるホルモン）の働きを抑制する作用があります。

スピロノラクトンは体内で塩分を吸収しすぎることを防ぎ、カリウム濃度が低すぎないようにする利尿剤が含まれています。
ナトリウムの排出を増やして腎臓の遠位尿細管でカリウムが喪失するのを減少するのを阻害します。

またスピロノラクトンはジヒドロテストステロンの受容体と結合し男性ホルモンの働きを阻害し、テストステロンからエストロゲンへの変換を促進することによりハイレスはエストロゲン（女性ホルモン）を優位にします。トランスジェンダーの方は、男性ホルモン（アンドロゲン）の働きを抑制する抗アンドロゲン剤としてハイレスを使用することもできます。

最近ではこの抗アンドロゲン作用を男性型脱毛症（AGA）の治療としてハイレスは用いられています。
またハイレスは、女性のニキビの治療にも効果があります。